雑感(企業目線と税理士目線)-つれづれなるままに税理士 Vol.13-
「税理士に話がなかなか通じない」「税務の話ばかりで経営相談ができない」と感じている方はいませんか?
もし心当たりがあるなら、今回の雑感はきっと参考になると思います。
私は現在、税理士として仕事をしていますが、大学卒業後の約19年間は事業会社の経理部に所属し、売掛金・買掛金管理、月次・年次決算、連結財務諸表、監査法人対応など、多岐にわたる業務を経験してきました。
その後は約10年間、会計事務所で勤務し、現在は税理士として活動しています。
つまり私は「企業目線」と「税理士目線」の両方を実務として理解してきました。
■ 企業経理と税理士業務は、そもそも“重ならない”
企業側の経理が担当する業務は非常に広く、
資金繰り、集金・支払管理、原価計算、経営分析、与信管理、予算管理、株主総会資料の作成、連結決算、そして税務申告まで、本当に多岐にわたります。
一方、税理士側の業務は「税務が約7割」「会計が3割」という構図が一般的です。
企業側から見れば、税務は経理業務全体のわずか10%ほど。
残りの大部分は、経営に直結する資金繰りや債権債務管理、経営資料の作成などです。
この“守備範囲の違い”こそが、実は多くのすれ違いの原因です。
■「経営相談がしたいのに、税務の話ばかり…」の理由
理由はシンプルです。
税理士は“税務のプロ”であり、“会計のセミプロ”ですが、企業経理のような現場実務や経営支援は専門外だからです。
特に中小企業では、
「税務 < 資金繰り」
この構図は当たり前です。
だからこそ、「税理士に経営の相談まで求める」ことは、少し期待が大きすぎる場合があります。
もちろん、税務に関しては税理士は強力な専門家です。
ただそれ以外の経理分野については、「一般の人より詳しい」程度であることも多く、企業経理に精通した税理士は決して多くありません。
■ 相談するなら「その税理士は経営実務にも強いか?」を確認
税理士に深い経営相談をしたい場合は、
その税理士が経営実務にも明るいかどうかを見極めることが重要です。
税理士だから大丈夫、と全面的に依存してしまうのは危険です。
一方で、知人に相談するような距離感で使えば、非常に心強いパートナーにもなります。
■ 税理士に“過度な期待”をしないというスタンス
最後にお伝えしたいのは、
税理士を経営全体のアドバイザーとして過度に期待しすぎないこと。
税務の専門家として適切なアドバイスを受けることは大切です。
しかし、「経営全般の助言ができる税理士」は実はそれほど多くない、という事実もぜひ覚えておいてください。
この視点をもつだけで、税理士とのコミュニケーションは驚くほどスムーズになります。
税理士は頼れるパートナーです。
だからこそ、“得意な領域”と“そうでない領域”を理解した上で付き合うことが、より良い関係づくりの第一歩になります。
この記事が、皆さんが税理士と上手に連携していくヒントになれば幸いです。
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